まぶたブログ 形成外科医が書いたまぶたのお役立ちサイト

一美容形成外科医がまぶた(眼瞼下垂症、まぶたのたるみ、二重など)についての役立つ情報を書いております

垂れ目(下眼瞼開大術、下眼瞼下制術)

たれ目形成について

ここでは目の外側を大きくする目尻切開の効果を補う垂れ目形成についてお伝えします。
垂れ目形成術は目尻切開の結果をより良くしたい場合、または垂れ目にしたい場合に行われることが多いです。

症例紹介01

術前

術後 1か月

術前

術後 1か月

術前

術後 1か月

【垂れ目形成術のリスク・副作用】

左右差、結膜浮腫、結膜炎、下まぶたの外反、三白眼、後戻りなど

症例紹介02

術前

術後 3か月

術前

術後 3か月

目尻:目尻切開・垂れ目形成
目の下:経結膜脱脂法・微細分離脂肪注入・涙袋ヒアルロン酸注入

【垂れ目形成術のリスク・副作用】

左右差、結膜浮腫、結膜炎、下まぶたの外反、三白眼、後戻りなど

垂れ目形成術の手術方法について

垂れ目形成術の手術はいくつかの方法があります。

≪垂れ目形成術の手術方法≫

①下まぶたの裏から糸留めを行う方法
②下まぶたの裏からCPFという膜を短縮する方法
③下まぶたのまつ毛の生え際の皮膚を切開してCPFという膜の短縮を行う方法

①糸留めによる垂れ目形成術は簡便な方法ですが、後戻りも大きく一時的な効果しか出ないことが多い印象があります。

②下まぶたの裏からCPFを短縮する方法は下まぶたの裏の結膜を切開します。
CPFを見つけ出すのにわりと時間がかかることがあり、いわゆるプチ整形という部類ではありません。
具体的にはCPFを下まぶたの瞼板下端に逢着し、CPFの短縮をはかります。
下まぶたのまつ毛の生え際からアプローチをする方法は下まぶたの裏から行う方法と目的は同じです。
ただし、CPFに到達するまでに眼輪筋という瞼の表情を作る筋肉を切開する必要があるため涙袋の形の変化をもたらすことがあります。

③下まぶたの裏から行う方法は時に、皮膚が余り過ぎてまつ毛が目に刺さりそうになることがあります。
そのようなときはまつ毛の生え際で皮膚のみを追加で切除してあげる必要があります。

垂れ目形成術の適応について

垂れ目形成術は
・垂れ目にしたい方
・目尻切開によって目を大きくしたい方
に治療の適応があります。

垂れ目形成術の留意点

垂れ目形成術をするにあたっての細かな留意点についてお伝えします。

後戻り(あともどり)があり得ます

垂れ目形成術はCPFという膜を短縮して行いますが、理屈上もどることはないはずですが、実際には多かれ少なかれ後戻りを認めます。
ですので、後戻りを考慮して手術直後には過矯正にして終えることもあります。
ただし、後戻りが起こる時期が人によってまちまちなので強い過矯正にしてしまうと日常生活で支障をきたしてしまいます。

三白眼について

白目が黒目の上または下に見えている状態を三白眼といいます。
垂れ目形成をする際に、下まぶたを下げることによって三白眼のように見えやすくなります。
そのため、下まぶたの外側のみを下げることによってできるだけ三白眼にならないようにしますが、症状によっては少し下げただけでも三白眼になってしまうこともあります。
三白眼はもともとある方もいれば、例えば眼瞼下垂症などでも出現することがあります。
また、垂れ目形成後は上の方を見ると三白眼っぽく見えることは普通にあります。
そもそも、三白眼を気にされない方もいらっしゃいます。

涙袋の消失・形の変化

垂れ目形成術を行うと涙袋の形が変わることがあります。
特にまつ毛の生え際を切開して行う皮膚切開アプローチの下眼瞼開大術(垂れ目形成術)は涙袋が消失してしまうことがあります。
これは、皮膚からアプローチをした場合に眼輪筋を一部切除することによっておこることが多いです。
眼輪筋を切除せずとも眼輪筋を切開してCPFにアプローチするため微妙なの涙袋の変化はあり得ると考えておいた方がよいです。
また、その部分は傷で数か月硬い状態となります。
瞼の裏から下眼瞼開大術を行う場合は消失しないことが多いですが、微妙に涙袋がはっきりしなくなるような形の変化はあり得ます。

下まぶたの外反の可能性

皮膚側からの外側アプローチで垂れ目形成を行った場合に、傷痕の拘縮が重なって下まぶたが外反(あっかんべーの状態)する可能性があります。
皮膚の取り過ぎでなければだいたいの場合落ち着くと思われますが、経過を慎重にみる必要があります。

垂れ目形成のそのほかのリスク

  • 腫れ
  • 痛み
  • 内出血、結膜下出血
  • 左右差
  • 結膜浮腫が長引く可能性
  • 傷跡の赤み
  • 結膜炎 など

垂れ目形成術と合わせて行われる涙袋形成

垂れ目の雰囲気をより強調させたい場合に涙袋のヒアルロン酸注入を行うことがあります。
涙袋ができるとより立体的で可愛らしい印象になります。
ところが、先ほども述べたようにまつ毛の生え際からの切開法によって行われた場合には高率に涙袋が消失しますのでヒアルロン酸注入を行っても涙袋を作ることが非常に難しくなります。
実際注入するととても硬いです。

目尻切開との併用について

垂れ目形成は垂れ目にしたい方だけではなく、目尻切開によって目を大きく見せたい方にも効果的です。
目尻切開はせっかく作った目尻の形成部位が傷が癒えると同時にくっついて戻りがちになってしまう手術です。
その効果を最大限に出すために、下まぶたを下げて戻りを防ぐということになります。

垂れ目形成術の類似手術

外し靭帯移動術(外眼角靭帯移動術)

目尻切開はこちらになります

筆者紹介

著者 石川勝也

役職 プラストクリニック院長

資格 日本形成外科学会専門医
   日本美容外科学会専門医(JSAS)