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一美容形成外科医がまぶた(眼瞼下垂症、まぶたのたるみ、二重など)についての役立つ情報を書いております

くぼみ目で二重にならない場合の二重の作り方

術前

術後3ヶ月

切開重瞼・挙筋前転法による二重手術後3ヶ月

≪症例の解説≫

もともと一重だったそうです。過去に5回ほど埋没法や部分切開法による二重手術を受けられていました。
それでも二重にならないということで「普通のふたえ」になりたいとのことでご相談にこられました。
診察したところ、いわゆる「くぼみ目のひとえまぶた」の状態でしたが細い棒(ブジー)をあてて二重をシミュレーションしようとしても二重にならずにくぼみのところが引き込まれる状態でした。
病的ではありませんが弱冠目の開きが悪く(軽度の眼瞼下垂症)、軽度の眉毛挙上(眉毛をあげる)の癖を認めました。
また、まつ毛から右は11mm、左は8mmのところで部分切開をされていたため右の二重の幅を狭くする必要がありました。
くぼみ目を解消しないと二重にならないためくぼみ目を改善すると同時に二重の幅を狭くして作成することとしました。
具体的には全切開重瞼術+癒着剥離(ゆちゃくはくり)+挙筋前転法でおこないました。
術後はくぼみ目が改善すると同時に二重を自然な幅で作成できました。
必然的に目の開きが良くなったため目が大きくなりました。
二重の内側の幅に弱冠左右差がでてしまいましたが、ご本人様は気にならないとのことでとくに修正などはおこないませんでした。

切開法または部分切開法をされているまぶたの二重の幅を狭くすることはなかなか容易ではありません。
癒着を解除してもやっぱり幅の広い方に二重がつられて狭くなってくれない可能性もあります。
そのような場合にはまた2次手術、3次手術が必要になる可能性をお話ししての手術でした。

 

くぼみ目は二重になりにくい

くぼみ目の方は、二重手術を受けても思うように二重にならない場合があります。
その理由は、ふたえになってほしいところが引き込まれずに、くぼみ部分が引き込まれてしまうため、思うように二重にならないのです。

≪くぼみ目の原因≫

・もともと眼窩脂肪が少なく窪んでいる
・眼瞼下垂症による眼窩脂肪の後退と眉毛をあげることによるくぼみ
・加齢にともなう眼窩脂肪の後退と眉毛をあげることによるくぼみ

などがあります。

くぼみ目で二重を作成する場合にはくぼみ目を解消しないと二重にならないことが多々ありますので、二重を作ると同時にくぼみ目を解消する必要があります。
それは例えば脂肪注入やヒアルロン酸などでまぶたを膨らませることもあれば、眼瞼下垂症手術を行ってくぼみ目を解消することもあります。
診察をしたうえでのケースバイケースということになりますが、今回の症例の場合は病的な眼瞼下垂症ではない方へ眼瞼下垂症手術を応用した方法です。

二重の幅を狭くすることは容易ではない

今回の場合、単純に眼瞼下垂症手術をしてくぼみ目を解消するだけでは自然な二重にならない可能性がありました。
それは以前に高い幅で受けた部分切開二重の存在があるからです。
二重を作成するためには幅を狭くした方が有利ですが、そのためには二重を狭く修正する必要がありました。
ところが二重というものは幅の高い部分に引っ張られてできてしまうことがほとんどです。
ですので高い幅の二重の線を消すように処置をする必要があります。
癒着(ゆちゃく)をはがす処置です。
手術で作られた二重の瘢痕を解除することによって二重を消します。
一般的には二重の幅を狭くすることは広くすることよりはるかに難易度が高くなってしまいます。

筆者紹介

著者 石川勝也

役職 プラストクリニック院長

資格 日本形成外科学会専門医
   日本美容外科学会専門医(JSAS)